後見等申立、死後事務委任契約、財産管理

後見手続、死後事務委任契約、財産管理

後見について

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。

判断能力を喪失すれば法律行為を行うことが難しく、財産などを失ってしまう可能性があります。そこで、本人の判断能力に応じて次のように分類されます。

分類後見保佐補助

対象となる方

(本人)

判断能力が

全くない方

判断能力が

著しく不十分な方

判断能力が

不十分な方

選任される成年後見人等成年後見人保佐人補助人

どの分類も本人・配偶者・4親等内の親族・市町村長などからの申立により、裁判所の審判で後見人等が選任されます。

申立は、担当ケアマネージャーや家族の方からの相談に始まり、医師の診断書や本人の財産目録等を準備して裁判所へ申立をするため1~2か月を要します。

申立後は裁判所の調査官が本人との面談を行い、必要があれば本人の意思判断能力を医師が鑑定することもあります。

これらの手続を経て裁判所の審判により後見人等が選任されるため時間を要します。

相続手続などでは、相続人の中に認知症の方がいる場合に、遺産分割協議を本人に代わって後見人等が協議するので、相続開始後に成年後見制度などを申立すると相続手続が長期になってしまうこともあります。

任意後見契約とは

後見・補佐・補助などの制度は、本人の判断能力が低下してから裁判所へ申立する制度ですが、任意後見には次の3つのタイプがあります。

  • 将来型

将来に自分の判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ身上監護や法律行為を代わりに行ってもらう人(任意後見受任者)と契約します。

  • 移行型

上記の将来型の任意後見契約に加えて、今現在の生活でも支援を望む人。例えば財産管理契約や、普段の生活に必要な法律行為等の委任契約も併せて任意後見契約を締結します。

  • 即効型

契約を締結する能力はあるが、軽度の認知症などの自覚があり、直ちに支援を望む人。

任意後見契約は本人の意思判断能力が衰えていないうちに、認知症などに備え、将来の身上監護や法律行為を代わりに行ってもらう人と契約を結びます。この代わりの人のことを任意後見受任者と呼び、本人の希望により自由に決めることができます。

契約の方式は公正証書によって契約する必要がありますが、任意後見契約は法律行為の代理権の範囲を契約で決めることができるので、自由度が高い制度です。

自分で財産管理することに不安を覚えたり、意思判断能力が衰えてきたときは、本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者などから裁判所へ監督人の選任申立をすることにより任意後見契約の効力が生じます。これにより任意後見受任者が本人の代わりに法律行為を行い、任意後見人と呼び名が変わります。

本人は任意後見人を自由に決めることができるので、司法書士や弁護士以外の人も任意後見人になる事が可能です。よって任意後見人が本人のために適切に任務を遂行しているか否かを裁判所が判断するため、任意後見人を監督する法律専門職などの監督人が更に選任されます。

ここまで任意後見契約についてお話しましたが、任意後見契約を締結しても必ず契約の効力が生じるものではありません。本人の意思判断能力が衰え、本人の同意のもと裁判所へ申立をすることにより監督人が選任された時から契約の効力が生じます。

本人の意思判断能力が比較的衰えてなく、生涯に渡って自分で財産管理を続ける方も多くいらっしゃいます。

しかしながら、不足の事態にも対応できるように任意後見契約を保険と考えて、あらかじめ自分が信頼する人と任意後見契約を結ぶ方も大変多いです。また任意後見契約と死後事務委任契約、財産管理契約などを併せて契約することで、将来の生活を計画的に考えることができます。

成年後見制度や任意後見制度について、当事務所ではご理解いただけるまで説明いたしますのでお気軽にご相談ください。

死後事務委任契約

自分が亡くなった後、病院や施設への支払いと原状回復、葬儀や埋葬などは相続人が行うことが一般的です。しかしながら身寄りがない場合や、相続人が遠方に住んでいることも多く、手続することが難しいこともあります。

生前に知人にお願いしておくことも考えられますが、民法の原則として委任契約は委任者の死亡により終了します。もっともこれは任意規定のため、死後についての委任も有効ですが、契約書が無ければいくら知人が口頭で頼まれていたと主張しても手続することは難しいと思われます。

また遺言で決められる内容も法定されているため、このような手続を遺言書に残すことは有効ではありません。

そこで、自分が亡くなった後の手続を委任した証拠として、死後事務委任契約書を作成する意義があります。

一般的に死後事務委任契約は、次のような内容について契約することが多いです。

  • 医療費の支払いに関する事務
  • 家賃・地代・管理費・敷金・保証金等の支払いに関する事務
  • 病院や施設利用料の支払い、賃借建物明け渡しに関する事務
  • 通夜・告別式・火葬・納骨・埋葬に関する事務
  • 菩提寺の選定、墓石建立、永代供養に関する事務
  • 行政官庁等への諸届の事務
  • 相続財産管理人の選任申立手続に関する事務 

上記は一例ですが、任意後見契約や遺言書と組み合わせることで、家族や親族に迷惑を掛けることなく安心して過ごせます。当事務所へお気軽にご相談ください。

財産管理契約

預貯金口座の管理や生活費の支払い、生命保険や火災保険の更新など、財産価値が大きな金融資産の管理を委任する契約です。

預貯金口座の管理だけを行うことあれば、公共料金などを支払った後に毎月生必要な額だけの生活費を委任者へ渡す契約を締結することもあります。

口頭でも契約は成立しますが、後の紛争を回避するため、委任者と受任者で委任の範囲を記載した財産管理契約書を作成します。

当事務所では、預貯金通帳の管理から生活費の支払いまでの財産管理を行うことも可能ですのでご相談ください。

成年後見・任意後見契約、死後事務委任契約、財産管理契約の報酬

※死後事務委任契約で当事務所が受任者になる場合の報酬は契約書作成報酬に含まれていません。

※財産管理契約で当事務所が受任者になる場合の報酬は契約書作成報酬に含まれていません。通帳管理、生活費の支払管理については別途見積いたします。

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